漆の精製工程 Lacquer refining process
ウルシの木から採ったそのままの状態の荒味生漆から漆が出来上がるまでの精製工程についてご紹介します。
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1. 生漆
漆の精製には、荒味生漆を使います。荒味とは、ウルシの木から採ったそのままの状態のことです。そのままでは水分が多かったり成分も均一でないため塗れません。
荒味の生漆を加工することで、塗料になります。具体的には、ナヤシ(攪拌作業)とクロメ(水分を蒸発させる作業)を行います。
漆の精製において、乾きのスピード、粘度、艶の有無は生漆の個性に大きく左右されます。狙った品質の精製漆に仕上げるには、その生漆の性質を生かした精製がカギになります。 -
2. ナヤシ
荒味生漆を製造鉢の中に入れます。製造機(攪拌機)のヘラで擦り込むように攪拌する作業を「ナヤシ」と呼んでいます。
漆の成分を均一にして、粒子を細かくします。漆の艶を決める重要な工程です。
艶高に仕上げるには、ヘラで漆を練りこむように攪拌します。 -
3. クロメ
製造鉢の上に電熱器を吊るし、製造機のヘラで攪拌して水分を蒸発させる作業を「クロメ」と呼んでいます。
クロメという言葉は、水分が蒸発していく過程で色が黒く変化していくことに由来している、とも言われています。水分が残り3%程度になるまで、熱を加え続けます。水分を取りすぎると、乾きの遅い漆もしくは乾かない漆になります。 -
4. 仕上げ濾し
荒味の生漆から精製しているため、出来上がった精製漆の中には木のくずや塵ごみがたくさん混ざっています。遠心分離機を使って、濾過します。 -
5. 精製漆
生漆の持つ個性を生かして精製された漆は、専用の樽に入れて保管します。
精製漆のラインナップは乾きの早いもの~遅いもの、粘度の高いもの~低いもの、艶があるもの~ないものまで多様です。それらを掛け合わせて、用途、要望に沿った漆をお届けしております。
手グロメ
手作業で行う伝統的な製法。手グロメで仕上がった漆はとても柔らかく、刷毛ののびも良く、また艶はしっかりと消えたものになります。
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1時間後
色の変化が始まります。ヘラを回す回数が多くなりすぎないように、熱を全体に行き渡らせます。 -
2時間後
水分が取れるスピードが上がり、少しずつ飴色に変化していきます。 -
3時間後
色、温度の変化を見ながら、水分を取りすぎないように注意をして仕上げます。